LEDサインの成り立ちと樹脂製サイン
LEDサインが普及する以前から、発光しない立体的な文字サインは「チャンネル文字」と呼ばれ、店舗や施設の目印としてその役割をはたしていました。 今回はLEDサインの成り立ちや、最新の樹脂製サインついてお話しします。
チャンネル文字(箱文字・立体文字)
LEDサインの普及により、チャンネル文字とLEDサインは混同されることもありますが、現在でも発光しない「チャンネル文字」は、全国で多くのサイン業者によって製作されている一般的なサインです。
チャンネル文字のチャンネルは航海用語の海溝(海底の細長く続く溝)から生まれた名前で、立体的な箱体サインの中に文字形の空洞(溝)があることに由来します。
ステンレスなどの金属でつくられるチャンネル文字は、その耐候性と強度の高さから外部の大型サインを製作するのにも適しており、比較的安価で作れるのも特徴です。
また屋内においても、同じく厚みのある発泡ウレタン樹脂で作るカルプ文字、アクリルで作る象嵌文字などに比べ、真鍮や銅などの素材を加工したシックで高級感のあるイメージを表現するのにも適しています。
LEDサインの登場
小型LED技術が発達しチャンネル文字の中に組み込まれるようになると、それはLEDチャンネル文字と呼ばれ、後述する樹脂サインなどと共に総じてLEDサインと呼ばれるようになりました。
LEDの省電力・省スペースの特性は、チャンネル文字サインの中に組み込むにはとても適しており、また発熱量が低いという安全面から見ても、チャンネル文字とLEDの相性は抜群だったと言えます。
現在は大きなサインを要するビルや店舗のファサードなどで、明るい日中でも存在感を放つLEDチャンネル文字を多く見ることができます。
樹脂サインによる更なる進化
やがてそれまでは金属製が主流だったLEDサインに、樹脂製のものが登場するようになりました。
金属平板を曲げ加工して側面をつくるという製作上の制約があるLEDチャンネル文字には、発光の種類が正面か背面しかない、細かい文字をつくりにくい、また色が少ないなど表現の自由度にも限りがありました。
ルーターを駆使してつくる樹脂サインの登場で、金属加工では困難であった立体文字に丸みや角度をつけたり、細い書体幅や小さなサイズの造形が可能になるなど、サインはデザイン面で大きな革新が得られたのです。
また同時に発光の種類も増え、側面を光らせられたり、色数が豊富で中間色が表現できたりと、従来のサインに比べ表現において飛躍的な進化を遂げるきっかけとなりました。
樹脂の特性を生かしたスタイル
樹脂サインは無垢素材を文字型に削り出して作るため、大きいサイズになると金属製のチャンネル文字の方がコストパフォーマンスに優れるものの、ミドル〜極小サイズのサインにおいてはそのレパートリーが圧倒的に豊富です。
様々な発光面
樹脂サインの登場により正面と裏面はもちろん、側面のみ、正面と側面、側面と裏面、また全面など様々な発光のレパートリーを持つサインの製作が可能になりました。
正面に金属の切り板や透過性のあるシートを貼ったり、遮光塗料で部分的に塗装するなどアレンジの幅も広がっています。
塗料の品質と塗装技術向上も相まって、本物の金属と見まごうほどのABS樹脂の併用も可能です。
テーパーカットタイプ
樹脂サインの側面を角度をつけて製作する技術により、チャンネル文字とは一味違うスタイリッシュなビジュアルのサインも登場しています。
また特殊なLED基盤の開発により、正面幅が数ミリといった極めて繊細な文字の表現まで可能になりました。
極細サインには推奨サイズと仕上げ方に制約がありますが、間近で見ても細部まで非常にハイクオリティなサインです。
ネオンタイプ
1900年初頭にヨーロッパから発展し、かつての日本の繁華街の象徴とも言えるネオン管をリアルに再現したLEDサインもあります。
ガラス管を曲げて加工していたネオン管のように、円形や楕円の断面形状を優れた加工技術によって削り出し、好みの文字デザインで作ることが可能です。
また熱を発しないLEDの使用により、破損で怪我や火災の原因にならず屋内設置が可能となり、手の届く位置に設置してもやけどの心配がありません。
まとめ
ほんの数十年の間にサイン業界は大きな進歩を遂げました。
中でもLEDという光源の導入が、大きな躍進のきっかけになったのは言うまでもありません。
チャンネル文字からLEDサインへ、また樹脂製サインの登場により建物や街の景観もここ数年で加速度的に華やかな近未来化のイメージを呈しています。
まだまだこれから新たな技術や素材の発見によって、世の中に次々と新しい表現が生まれることでしょう。
今現在のLEDサイン業界もまた多くの人々に影響を与えながら、新しい感性によって進化することを待ち望んでいるのです。
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