LEDサインの設置|先行配線とは?
LEDサインをはじめとする電飾サインには電源が必要な為、建築による電気工事が必須になってきます。
リニューアル工事でサインを取り替える場合は既存の電源配線をそのまま利用してサイン本体のみを交換することもありますが、新築・新装工事で先に環境が仕上がってしまい壁裏から結線できない場合は先行配線で準備を整えておき、最終的に仕上げのサイン本体と結線するのが一般的です。
LEDサイン設置までの流れ

店舗など商業施設の建築工事では、通常見た目や安全性を重視して露出配線を行うことはほとんどありません。
スイッチやコンセント・照明などの配線は天井裏や壁内で隠し、困難な場合は梁型や造作で配線を隠蔽する工夫をして美しく仕上げます。
同様に電飾サインの配線もまた事前に終わらせておき、すべての環境が仕上がった工事の終盤にサイン本体を設置するのが基本です。
LEDサイン設置のタイミング
サイン工事でサイン本体を取り付けるタイミングはほとんどの場合、すべての業種の作業が終わった後の最終工程になります。
いざ取り付けという段階で配線に不具合などがあれば仕上がった面を捲るなど大きなロスが発生してしまいますので、先行配線はチェックも含めて確実に仕込んでおかなければなりません。
先行配信とは?
先行配線とはサイン工事に限らず建築電気工事でも一般的な言葉で、スイッチやコンセント・照明器具など電気設備の配線を、造作工事で天井や壁のボードを張り終える前に仕込んでおくことです。
建物で電話やネット回線を使用する場合は空配管で配線引き込みルートを作っておき、建物の工事が全て終わった後に配線することも可能ですが、電源トランス設置が必要でありかつ壁表に取り出す配線の穴位置や仕上げがシビアなLEDサインの場合はそうもいきません。
サイン本体を取り付けるタイミングで既に壁裏が仕上がっており結線できない工程の場合、必ずピンポイントのサイン位置に電源の線出しまでしておく先行配線が必要になってきます。
先行配線のタイミング
建築工事の電気工事士が行う先行配線は、木造であれば屋根・外壁・床板・天井下地が出来上がった時点、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合は内装の二次下地が終わった時点、そこから内装ボードを張り終わるまでの間にその他の電気設備と同じタイミングでサイン用電源の仕込みを終わらせておくのが理想です。
電源トランス(変圧器)
先行配線で同じく仕込んでおかなければならないのが電源トランス(変圧器)です。
これは建築工事の電気工事士がVA線で配線するAC100V電源を、LEDサインで使用する低電圧のDC電源に変換する装置です。
もしこの電源トランスをかまさずコンセントなどでAC電源に接続した場合、LEDサインは即座に破損してしまいます。

また安定器からLEDサインの光源部までの距離にも制約があり、あまりに距離が長くなりすぎると電圧降下によりLEDがもつ本来の明るさが発揮できずに暗くなってしまいます。
また距離だけでなく電源トランスの設置場所については点検口の近くにするなど、後々のメンテナンスも含めて検討しておくほうが良いでしょう。
また電源トランスには屋内用と屋外用があり、設置する場所に適したトランスを使用しなければ故障の原因となりますので注意が必要です。
先行配線の線出し
先行配線でLEDサインを設置する壁の表面や吊り下げ金物・造作物から線出しをしておくことで、壁裏や天井裏に潜り込むことなくサイン本体を設置することができます。
線出しはサイン本体の設置時同様に原寸大の型紙をズレなく定位置にあてがい仮止めし、配線を通す位置に正確に穴を開けて行います。
表装仕上げ工事の塗装やクロスなどが仕上がる前の先行配線ですので、水平墨を打つなどして確実な位置に線を出しておくようにしましょう。
線を出す穴位置は非常に重要で、サイン本体のベース部分で穴が隠れてしまう場合は後から多少の修正ができますが、壁からボルトで持ち出すLEDサインなどは特にシビアな穴開けが要求される為、サインの職人にお願いするのが一番安心な方法です。
先行配線をなくす方法
シビアで何かと手間がかかる先行配線をなくしたい場合、可能であればサイン本体設置時に壁裏や天井裏から配線できる位置に点検口を設ける、もしくはモールなどを使った露出配線にするなどの方法がありますが、文字ごとに電線が必要なサインの場合はそれもまたなかなか困難な方法ではあります。
あとはデザイン的に問題がなければサインを設置する部分に予め配線可能なボックスを造作しておくというのも一つの手です。
あとがき
今回はLEDサインなど電源を必要とする電飾サインの先行配線について説明しました。
サインの先行配線に使用する電気線は一般的に建築の電気工事士が使用するものとは異なる為、サイン本体とセットの電源トランスと共に事前にサイン屋さんから取り寄せ現場で仕込んでおく必要があります。
取り付けるサイン本体のデザインなどと合わせて先行配線が必要かどうか、必要な場合の配線距離や納期・送り先についてもしっかり打ち合わせをして発注しておくようにしましょう。
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