レーザー加工機|サインの高度な加工技術
様々な分野で実用化されているレーザーの進歩は目ざましく、現代社会においてはもはや欠かすことができない存在です。
私たちが目にする美しいサインの完成までには多くの工程があり、レーザーを利用した様々な機械も使用されています。
今回はサインの製作スピードと高品質な完成度に大きく貢献し、多様なニーズに対応するレーザー加工機についてもお話ししたいと思います。
レーザーについて

すでに聞き慣れて久しいレーザー(Laser)という言葉は、「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」という少々長い英文の略称で、直訳すると「誘導放出による光増幅放射」といった意味合いになります。
レーザー技術の基礎となる誘導放出(Stimulated Emission) と呼ばれる現象は、20世紀初頭、かのアインシュタインが量子力学に基づき提唱したとされています。
後年多くの研究者によってこの量子理論は発展し、20世紀中頃、マイクロ波の誘導放射を実証するという画期的な研究は、後にノーベル物理学賞を受賞しました。
この誘導放出を繰り返して増幅された電磁波を放射する装置がレーザーと呼ばれ、実用化が進んだ現在は、建築や工業・医療や通信など様々な分野で活用されています。
レーザーの媒質(ばいしつ)
物理学用語である「媒質」とは、光を含めたあらゆる波動や力を伝える空間や物質・物体のことを意味する言葉です。
レーザー媒質は光の増幅に寄与する物質を指し、その素材や物質の状態によって大きく4種類に分類することができます。
レーザーの分類
人工的に生み出された強く直進する光であるレーザーは、媒質の素材やその用途によって使い分けることが一般的です。
固体レーザー
固体レーザーは媒質に人工結晶が用いられることが多く、高密度である固体は液体や気体と比べて同体積での出力を大きくすることができます。
小型であっても大きな出力が得られる固体レーザーは、レーザー加工やレーザー溶接など産業分野でも広く採用されています。
半導体レーザー
半導体もまた固体ではありますが、媒質が半導体である場合は出力の大きな固体レーザーと区別され「レーザーダイオード」とも呼ばれています。
小型で安価な半導体レーザーは、CDの読み取り装置や光通信、レーザープリンターなど日々の生活とも密接に関わるレーザー技術です。
液体レーザー
液体を媒質とした液体レーザーにも種類がありますが、実用化されているのは有機色素レーザーと呼ばれる方法です。
半導体レーザーよりも出力が低いものの、色素や機器により波長が調整でき、医療や舞台エンターテイメントの現場でも活用されています。
気体レーザー
「ガスレーザー」とも呼ばれる媒質に気体を使用するのが気体レーザーで、バーコードスキャナーの赤い光で目にする機会が多いレーザーです。
気体は密度が低いため固体や液体と比較すると小さな出力になりますが、気体容積を増やし出力を大きくすることでレーザー加工の分野でも利用されています。
レーザー加工機とモノづくり
レーザーを用いた優れた工作機械の登場は、サイン業界のモノづくり現場においても大きな変革期となりました。
ほんのひと昔前まで糸鋸ミシンの手加工に頼っていたステンレスや真鍮の切文字製作も、レーザー加工機の登場後は飛躍的に加工スピードが向上し、高品質な製品を提供することが可能となったのです。

レーザー加工機は金属をはじめとする様々な素材の切断や文字などの切り出し以外にも、溶接や彫刻など幅広い加工に対応しており、コンピューター制御を組み込み正確かつ効率的な加工プロセスを実現しています。
加工の現場で一般的なファイバーレーザーやYAGレーザー、CO2レーザーなどを駆使し、それぞれの特性と最適な出力を選択することで、素材を傷めることなくあらゆるニーズに対応する製品をつくりだすことが可能です。
ファイバーレーザー

光ファイバーを使用するファイバーレーザーは、アルミ・真鍮・銅などの高反射金属の加工を得意とし、様々な金属素材に対応できます。
アクリルなど光が透過する素材や木材などは加工ができませんが、金属素材の切断スピードが速くコストパフォーマンスの高いレーザーシステムです。
YAG(ヤグ)レーザー

固体レーザーの代表格であるYAGレーザーは出力が大きく、サイン製作の現場ではレーザー溶接の用途で広く使用されています。
ファイバーレーザーと同じく金属など硬い素材の切断加工だけではなく、繊細な薄板金溶接加工にも適しているのが特徴です。
CO2(炭酸ガス)レーザー

気体レーザーに分類されるCO2レーザーは炭酸ガスを媒質として使用し、ファイバーレーザー・YAGレーザーに比べランニングコストがかかる反面、アクリル・木材・布・紙など幅広い素材の加工が可能です、アルミ・真鍮・銅などの反射率の高い金属には適していません。
あとがき

サイン業界においても今や欠かすことができないレーザーは、波長や発振方式などでも細分化した研究が進んでおり、まだまだ未知の可能性を秘めています。
レーザー加工機を駆使してオリジナルサインをより精密に美しく、かつスピーディに仕上げるサイン業界の挑戦はこれからも続いていくのです。
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