東京のLEDサイン・切文字サイン製作 株式会社オミノ

オミノマガジン

サイン設置を支える溶接の技術

街中で目を引く立体的でデザイン性に富んだ看板サイン。
その美しい仕上がりの裏側には、熟練の溶接技術が欠かせません。

例えば、立体文字の製作には、TIG溶接、レーザー溶接、半田付など、大きさや素材に応じた細かな技術が必要です。
また、現場での取り付けや下地鉄骨の製作には、被膜アーク溶接、MAG溶接/MIG溶接、TIG溶接、プラズマ溶接など、状況や用途に応じた多様な手法が用いられます。

今回は、普段あまり注目されることのない「看板製作における溶接技術」にスポットを当て、その役割や種類、魅力についてご紹介していきます。

「溶接」と聞けば、即座に鉄工所や建設現場で飛び散る火花、遮光の保護面をかぶって作業する姿をイメージできる方も多いのではないでしょうか。

古くから加熱や加圧によって複数の部材を接合する溶接の技術は、建築物はもちろん身近な自動車や鉄道車両、家庭用品などに至るまで幅広い分野の製造過程に深く関わっています。

大きな鋼材に対応する被覆アーク溶接や、電化製品の基盤などに使われる半田(はんだ)溶接、サイン業界でも活躍する繊細な加工が可能なレーザー溶接など、材料や用途にあわせ加工機械とともに多様化しているのが現代の溶接技術の特徴です。

溶接の分類と用途

溶接方法にも種類があり、例えば建築で用いられる一般的な溶接は、使用する構造用鋼材の化学成分や引張強度なども指標の規定に則り、あくまでも耐力と安全性・耐候性を重視した溶接方法が選択されます。

対してサインなどビジュアル面も非常に重要な製品の溶接は、一定基準以上の強度は勿論のこと、加工時の痕跡に対しても最大の注意を払い、美しい仕上がりを実現することが可能な溶接手段をとる必要があるのです。

このように用途に応じた必要性から溶接機械もそれぞれに進化しながら手法も細かく枝分かれしていくこととなり、現代の溶接は大きく「融接」・「圧接」・「ろう接」の3つに分類することができます。

今回はサイン業界をはじめ多くのものづくり現場で使用されている「融接」についてお話しします。

融接(ゆうせつ)

融接とは部材(母材)同士の接合部、若しくは部材と溶加材とを溶融温度を越える高熱で溶かすことにより一体化(融合)させる溶接を指します。

よく耳にするアーク溶接は融接に分類され、アーク溶接はさらに溶加材の有無などにより「消耗電極式(溶極式)」と「非消耗電極式(非溶極式)」に大別でき、さらにそれぞれ用途に適したメカニズムを有する溶接方法に細分化することができます。

被覆アーク溶接

被覆アーク溶接は建築現場で最も一般的な火花を散らす溶接方法で、溶接する鋼材と同素材の溶加材(溶接棒)との間に高い電圧を作用させ、円弧(ARC)状の放電現象により生じる高い熱で金属を溶かし接合させる方法です。

母材にマイナスの電圧をかけ、電極となる溶加材にプラスの電圧をかけることで母材から電極へアーク放電が発生し、特徴として強い光を発する点や数千度から一万度を越える高い熱量を生み出す点が挙げられます。

燃料で稼働するウェルダー(溶接機)を持ち込むことで手軽に現場溶接できる点が被覆アーク溶接の魅力ですが、負荷が大きいため繊細な溶接や薄い材料には不向きで、手溶接であるがゆえに溶接技術者の技量により精度が左右されるといった課題もあります。

MAG溶接/MIG溶接

マグ溶接とミグ溶接は、ともに溶接棒ではなくコイルに巻かれた針金状の溶接ワイヤを溶加材として用いる溶接方法で、ノズルから供給される電極ワイヤの溶着スピードは速く、作業効率が良いことからロボットなどにも搭載され溶接が自動化されています。

2つの溶接方法における大きな違いは、大気に触れることで発生する溶接部の不具合を防ぐため自動で供給するシールドガスが異なる点です。

ミグ溶接がアルゴンガスを使用するのに対し、マグ溶接はアルゴンガスと炭酸ガスの混合ガスを使用するため、CO2溶接や炭酸ガスアーク溶接とも呼ばれています。

またMIG溶接に関しては直流や交流などさらに細かく分類できますが、基本的には薄板から中厚板の溶接、アルミニウムなど非鉄金属の溶接にも対応できるという特性があります。

TIG溶接

ティグ溶接もまたアーク溶接の一種で、消耗しないタングステン(Tungsten)の電極と不活性ガス(Inert Gas)を使用することが名前の由来です。

安定したアーク熱と溶接箇所を不活性ガスでカバーすることにより火花が飛び散らず、品質維持の妨げとなるスパッタ(溶接で発生する金属粒・非金属物質)を防止します。

鉄はもちろんステンレスやアルミなど様々な材料の薄板の溶接に対応できることから、サイン製作の現場や機器の箱体、車両の部品製造など幅広い分野で活躍する溶接方法です。

プラズマ溶接

非消耗電極式に分類されるプラズマ溶接は、TIG溶接と同じくタングステンの電極を使用し、不活性ガスの加熱によって発生するプラズマアークで溶接する方法です。

アークの広がりをTIG溶接の1/4程度まで細く絞ることにより高密度の電流エネルギーが得られ、それによりビード(接合面にできる盛り上がり部)の幅が狭く歪みが少ない溶接が可能です。

また電極の消耗が少なくスパッタも発生せず、高品質な高速溶接が長時間稼働できるため自動溶接にも最適な溶接方法と言えます。

レーザー溶接

レーザー溶接もまた融接に属しますが、これまで挙げたアーク溶接とは根本的に原理が異なり、レンズで集めた光が生み出す高エネルギーのレーザー光を熱源として溶接する方法です。

高密度化された調整可能な熱エネルギーはサイン製作に求められる繊細な溶接や、深く小範囲の溶接も容易にこなし、母材と融点の異なる合金を接合するろう付けや半田付けをすることもできます。

レーザーによる溶接は自動化に不可欠なコンピューターとの相性も良く、現在大きな自動車フレームから小さな電子部品の製造に至るまで広く活用されており、これからのものづくりに関わる溶接の時代を牽引する優れた存在であると言えます。

あとがき

弊社納品実績

サインには、立体文字にレーザー溶接やTIG溶接、LEDとケーブルの接続に半田付けなど、新旧様々な溶接技術が盛り込まれています。

街で気になるサインを見かけた時、どのようにして製作されているのかを想像してみるのも楽しいかも知れませんね。

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